手作りのくらし2  干し柿

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 二回目の柿採りの際は、高枝切りばさみを車に乗せて出雲に向かった。今回は、百五十個ほど。娘の夫の忠ちゃんの実家に電話をかけてみた。前回の大収穫の年に持って行った際、
「干し柿にしようと思って皮を剥いだら、夜中の十二時までかかったわ」と言われたので、かえって迷惑になるといけないと思ったのだ。「いただきます。合わせ柿にするわ」と言われる。採った柿の中から大きくて傷がついていないものを選び、半分ほど持って伺った。
 私より十近く年上なのに、ワンピース姿で出て来られた姿は颯爽としていて格好いい。いつもと変わらぬGパン姿のわが身の貧相なこと。「ドライアイス買ってきて、合わせ柿にしますわ。私、大好きでね。ありがとうございます」と言われるので、安心する。シジミと栗ご飯をいただいて帰った。
 持ち帰った柿の半分は焼酎で処理し合わせ柿に、半分は皮をむいて干した。
 ご近所に、義母がよくお茶飲みに伺っていたお宅がある。義母が歩き辛くなってからは、たまに我が家に義母の様子を見にきてくれていたのだが、最近は向こうも年を取り、膝や腰を痛められてから、訪れる頻度が減ってきた。そこのお宅の二階の窓には毎年柿の数珠が十本くらい並ぶ。それが、今のところ見られない。これから作られるのなら出雲の柿を持って行こうと思い、最初の合わせ柿が出きた際、「干し柿作られるのなら、今年たくさんできたので持ってきますが」と言ったところ、ご主人が出てきて、奥のちゃぶ台の脇に座っている奥さんの方に目をやりながら、「家内の膝が痛て、この有様だが。毎日病院通いでねえ、何だいならんが」との返答。随分お世話になってきたので、柿は干し柿にしたのをあげよう。
 合わせ柿は失敗することはない。干し柿も、これまで失敗はなかった。第一弾、第二弾ともうまくいき、色々なところに配った。もちろん、膝を痛めたご夫妻宅にも。